どんなものを作りたいか?
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今の会社での役割が影響してか、最近は「どんなものを作りたいか?」より、「どう作るべきか?」の思考で物事を捉えているように思う。多くの人が関わるプロジェクトであればあるほど、まずは役割分担、体制など「どう作るべきか?」の合意が効率的な遂行上必要となるが、本来であれば「どんなものを作りたいか?」が決まらない限り、「どう作るか?」も決まらないのが道理のはず。何か大切なものを置き去りにしながら、モノづくりをしてしまっているような気がしてならない。
そんな中、興味の赴くまま手に取った本から、印象に残った言葉を紹介したい。
「いちばん大切なのはモノがどうということじゃなくて、暮らしだと思う。 ~中略~ 人がいて、家族と時を過ごす。友達がやってきて酒を飲む。ご飯を食べて風呂に入って、という当たり前のことが一番大切だと思う。そうやって、誰かと出会って一緒にいることを慈しむような道具があるといいと思うんですよ。暮らしに使えるような道具」
出展元:欲しかったモノ 赤木明登 P10
「使われてだんだんいい感じになっていくのがいいんですよ。あまり最初から完璧なものじゃなくて、完成一歩手前のモノが好き」
出展元:欲しかったモノ 坂田敏子 P38
「自分が欲しいと思えるものにしなくてはモノを世に出す意味がない」
出展元:欲しかったモノ 高橋みどり P52
「自分はどうしても売れるものを、と考えてしまう。~中略~ 昔、ジョージナカジマがよく言ったそうだ。「売れた、売れないを心配するより、出来るだけ多くの人に見てもらう方法を考えなさい。」それはきちんとしたいいものをつくっていれば、自然に売れる、という意味であったろう。」
出展元:欲しかったモノ 永見眞一 P62
「つまり、建築のテーマや完成度だけが住宅の価値ではなく、人の暮らし、人の心理の機微、人の行動や動作に思いを巡らし、そうしたものをいかに過不足なく住宅という容器に盛り込めるかが、住宅設計の仕事だと思う」
出展元:欲しかったモノ 中村好文 P70
「設計には建築的な知識や経験ではなく、モノの見方、感じ方、考え方、つまり、その人の全てが出る。自分の想いを伝えるというのは、説得力の問題じゃなくて全人格的なキャラクターの問題」
出展元:欲しかったモノ 中村好文 P74
「最近、よく思うのは、「ふつうでいいもの、って何だろう」ってことなんです。奇抜でも特別でもない、ふつうでいいもの」
出展元:欲しかったモノ 中村好文 P76
「今自分が持っている知識や理論や経歴なんてほんの数年の勘違いじゃないか、と思ってみる。自分がこだわっていることを疑ってみる。もっと流動的に、感覚をたよりにその瞬間瞬間をパッとつかめる方がより深くて本質に近い気がして。そのためにいつもゆらゆらしていればいい。浅いところでこれだ!っていうのをあせってつかみたくないな、と」
出展元:欲しかったモノ 前川秀樹 中村好文 P88
「日々の暮らしをていねいに。ふつうに生きていることが、つくるモノに表れる。」
出展元:欲しかったモノ 三谷龍二 P95
「三谷さんの時間と空間で繰り返される日々の暮らし。そのスケールから生み出される道具。自分の手の感覚や自分の食べるものにぴったりの器を作ろうとすると、自然にちょうどいい形、ちょうどいい寸法になっていく。モノをつくるとき、その形を決めるのは何かと聞けば、「必要な形と必要な寸法」と三谷さんは簡潔に答えた。美しい形を探すのではなく? 美しさ、っていうのは、使い飽きない、見飽きないことじゃないかな。つまり長い時間耐えること。長い時間ものないものは残っていきませんからね。長く持たせるということは使っていこうと思わせるモノであるということでしょう」
出展元:欲しかったモノ 三谷龍二 P98
「彼らは自分の暮らしや自分のセンスとかけ離れたモノは作っていない。~中略~ 世界には、売れ筋狙いのモノや、安直なモノがあふれていて、本当に自分が欲しいモノを探そうとするとなかなか見つからない。つくり手側がモノづくりの動機を見失っているような気がするので、「自分の暮らしの中から発想するモノづくり」というのは大きな意味を持っているんじゃないでしょうか」
出展元:欲しかったモノ P120
「心地よさには、節度と開放のバランスが大切なのだ。暮らしを整えることの心地よさとともに、暮らしには、気楽でゆるい感じも大切なのだと思う。」
出展元:木の匙 三谷龍二 P60
「大草原の小さな家の時代。お金も時間もない中で、必要最小限のかたちの家が作られたが、それがかえって、ムダなものを省いた簡素な美しい家を生み出したのだった。「大切なものを、単純なかたちで。」アメリカの納屋が教えてくれているものは、人にとって一番大切なものは、豪華な家でも綺麗な服でもなく、ジーンズとTシャツを無造作に着てでもいい、ただ「居心地がよく、単純な暮らし」ができることである」
出展元:木の匙 三谷龍二 P92
私の飽きっぽい性格を知り尽くしているカミさんは、「また本に影響された?」とからかう。(´~`ヾ)
さっ まずは自分の生活。明日は同僚の結婚パーティー、司会進行と余興の準備しなきゃ。



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